【事例研究】埼玉県の県営公園 — 23公園を一斉に売り出した「面」の命名権
ネーミングライツは通常、施設を1つずつ募集します。しかし埼玉県は23の県営公園を一斉に売り出し、18公園の名称と39の公園施設でパートナーを決定しました。これは「点」ではなく「面」で命名権を展開した事例であり、自治体が保有する施設群をポートフォリオとして活用する手法として注目に値します。
基本情報
| 実施主体 | 埼玉県 |
|---|---|
| 募集規模 | 23の県営公園(令和7年夏以降) |
| 決定結果 | 18公園の名称 + 39の公園施設 |
| 選定方法 | 選定委員会による選定 |
| 現在の状況 | 命名権が決まっていない9公園を継続公募中 |
| 目的 | 新たな財源確保による安定的な施設運営・維持、施設の魅力向上、県民サービスの向上、命名権者と連携したPR・地域活性化 |
決定した愛称の実例
| 元の公園名 | 決定した愛称 | 命名企業の業種 |
|---|---|---|
| 戸田公園 | サンクジャパン戸田公園 | — |
| 秋ヶ瀬公園 | GasOneグリーンパーク秋ヶ瀬 | エネルギー |
| しらこばと水上公園 | アルネットホームスマイルパークしらこばと | 住宅 |
| 川越水上公園 | ホットスタッフ川越パーク | — |
| 秩父ミューズパーク | 埼玉トヨペット秩父グリーンミューズパーク | 自動車販売 |
注目すべきは業種の傾向です。住宅メーカー、自動車販売、ガス事業者といった生活密着型のBtoC企業が並んでいます。公園は家族連れの利用が多く滞在時間も長いため、こうした業種と相性が良いことが実証された形です。
「面」で展開した3つの効果
- 1回の手続きで大量に成約できた — 23公園を個別に募集すれば、公募・審査・契約を23回繰り返すことになります。一斉募集により行政側の事務コストを大幅に圧縮できました。
- 企業側に選択の幅を提示できた — 複数の候補が同時に提示されることで、企業は自社の商圏や予算に合う公園を選べます。1施設だけの募集では「条件が合わない」で終わってしまう企業も取り込めます。
- 公園単位と施設単位の二層構造で裾野を広げた — 18公園の「名称」と39の「公園施設」でそれぞれパートナーが決まっています。つまり公園全体に手が出ない企業でも、園内の競技場や広場といった小さな単位で参加できる設計です。予算規模の異なる企業を同時に取り込む仕組みといえます。
この二層構造は、サブネーミングの考え方を制度として組み込んだものと見ることもできます。
愛称の付け方に見られる工夫
決定した愛称を見ると、2つの型があります。「企業名+元の公園名」型(サンクジャパン戸田公園、ホットスタッフ川越パーク)と、「ブランド名+性格を表す語+地名」型(GasOneグリーンパーク秋ヶ瀬、アルネットホームスマイルパークしらこばと)です。
後者のように「グリーンパーク」「スマイルパーク」という語を挟むと、企業名の主張が和らぎ、住民が口にしやすい響きになります。命名権で最も難しいのは住民に受け入れられ、実際に使われる名前にすることです。この工夫は愛称設計とハッシュタグ戦略で解説している「呼ばれる名前の条件」に合致しています。
また元の地名(戸田・秋ヶ瀬・しらこばと・川越・秩父)がすべて残されている点も重要です。地名を消さないことで、地域の文脈への配慮が示されています。住民の反発を避ける実務は住民の評判と乗り越え方をご参照ください。
あなたの自治体・企業に置き換えると
自治体にとって: 保有する施設を1つずつ売るのではなく、施設群としてまとめて売り出すという発想が有効です。特に公園・体育館・歩道橋のように同種の施設を多数保有している場合、一斉募集は事務コストと成約率の両面で合理的です。また「公園全体」と「園内施設」のように単位を二層に分けることで、参加できる企業の幅が広がります。
実際に倉敷市の5施設同時募集や北茨城市の4施設募集も同様のまとめ売り方式を採用しています。
企業にとって: 一斉募集は選択肢が多く、かつ競合が分散するタイミングです。人気施設は競合しますが、条件を柔軟に考えれば取得しやすい対象が見つかる可能性があります。埼玉県は現在も残り9公園を継続公募中です(案件詳細)。
よくある質問
まだ空いている9公園はどこですか?
県の公表資料および担当課への確認が必要です。ネーミングノートが無料でお調べします。
公園全体ではなく園内施設だけの取得はいくらくらいですか?
施設の規模により異なります。相場早見表の「公園・広場・駐車場: 年30万〜200万円」が目安になります。
自治体が一斉募集する際の注意点はありますか?
施設ごとの価値評価と最低価格の設定、選定委員会の設置による透明性確保が重要です。無料でご相談を承ります。
なぜ生活密着型の企業が多いのですか?
公園利用者が家族連れ・シニア層中心で滞在時間が長いため、BtoC企業の認知獲得に適した媒体だからと考えられます。
施設群のまとめ売りもご相談ください
「複数の施設をまとめて募集したい」「一斉募集の設計方法を知りたい」という自治体・施設運営者様のご相談を無料で承っています。企業様には現在応募可能な公園のご案内も可能です。


