ネーミングライツが決まらなかったときの立て直し方 — 丸亀競技場の減額再公募に学ぶ

ネーミングライツの失敗事例売れ残る3つの理由では「そもそも応募が来ない」段階を扱いましたが、今回は一歩進んで「一度は成約したが契約満了後の再募集で条件を見直した」実例から、立て直しのプロセスを見ていきます。

実例:香川県立丸亀競技場の再公募

J3リーグ「カマタマーレ讃岐」の本拠地である香川県立丸亀競技場は、2020年9月から2025年8月まで株式会社STNetが「Pikaraスタジアム」として年額2,015万円(税別)で契約していました。契約満了にあたり、当初は年間1,200万円の希望額で再募集をかけましたが、最終的には希望額を1,000万円に引き下げて再公募し、四国化成ホールディングス株式会社が新たなパートナーとなって「四国化成MEGLIOスタジアム」に改称しています。

※金額・経緯は執筆時点の公開情報に基づきます。詳細な引き下げの経緯・理由は公表資料をご確認ください。

なぜ最初の希望額では決まりにくいのか

命名権の専門コンサルティング事業者の分析によれば、条件設定が実勢と乖離すると対象企業が極端に絞られるケースがあります。例えば札幌ドームの「年間5億円×5年」という条件では、そもそも年間広告費5億円以上を支出する企業が全国で約450社程度しかなく、そこから地域性やスタジアム広告への関心で絞り込むとさらに少数になるという指摘があります。丸亀競技場のケースも、初回の希望額(1,200万円)が前契約(2,015万円)よりは下げていたとはいえ、再公募でさらに1,000万円まで調整されたことは、市場の反応を見ながら価格を最適化していくプロセスの実例といえます。

「引き下げ」は失敗ではなく市場との対話

希望額の引き下げは、自治体にとって心理的にネガティブに捉えられがちですが、実際には市場価格を探るプロセスの一部です。命名権料の算定方法で解説している通り、最初の金額設定は類似事例からの逆算にすぎず、実際の反応を見て調整する余地を最初から想定しておくことが望ましい姿勢です。重要なのは、引き下げを一度きりの対応にせず、「なぜこの金額なら成立するのか」を説明できる根拠とセットで提示することです。

自治体が再公募時に見直すべき3点

  • 価格の再設定根拠を示す — 前回との金額差だけでなく、類似施設の成約事例を根拠として提示する
  • 権利内容を見直す — 金額だけでなく看板の露出範囲や式典での扱いなど、企業側のメリットを再設計する
  • 提案募集型・仲介の活用を検討する — 施設指定型で反応が薄い場合は、企業側からの逆提案を受け付ける方式に切り替える選択肢もある

企業側にとっての示唆

再公募案件は、初回募集より現実的な価格帯に調整されていることが多く、狙い目になり得ます。募集の年間スケジュールと合わせてウォッチしておくと、条件が緩和されたタイミングで動きやすくなります。

よくある質問

希望額を引き下げると施設の価値が下がって見えませんか?

引き下げ自体よりも、根拠のない引き下げが印象を悪くします。類似事例との比較や、権利内容の見直しとセットで説明すれば、市場に合わせた適正化として受け止められます。

再公募になった施設は狙い目と考えてよいですか?

一般論としては、初回より条件が現実的な水準に調整されている可能性があり、検討の余地があります。ただし引き下げ幅や権利内容は案件ごとに異なるため、個別の確認が必要です。

ご相談ください

命名権の価格設定や再公募の進め方について、施設側・企業側どちらの立場からもご相談を承っています。まずはお気軽にご相談ください

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