【事例研究】名古屋市の歩道橋ネーミングライツ — 114橋、政令市最多はどう作られたか
名古屋市では、114の歩道橋に企業や商品の名前が付いています(令和8年9月1日時点)。政令指定都市で最も多い数です。スタジアムのような大型契約ではなく、月額2万7,500円の小さな契約を積み上げてここまで来ました。仕組みは単純で、ほかの自治体がまねしやすい形になっています。
制度の中身
| 費用 | 月額2万7,500円以上(税抜2万5,000円以上・1,000円単位) |
|---|---|
| 契約期間 | 歩道橋ごとに3年以上 |
| 募集 | 通年(いつでも申込可) |
| 表示 | 企業名、商品名、業種名、企業ロゴを愛称として桁部分に表示 |
| 選定 | 申込書類の提出後、検討会で検討 |
| 担当 | 名古屋市 緑政土木局 路政部 道路利活用課 |
| 出典 | 名古屋市公式サイト(令和8年9月1日更新) |
114橋まで増えた理由
- 料金が一律で分かりやすい。札幌市のように橋ごとに最低額を変える方式ではなく、どの橋も同じ下限です。企業は「年33万円」とすぐ計算できます。
- 締切がない。公募期間を区切らず、いつでも受け付けます。企業は自社の予算の時期に合わせて申し込めます。
- 場所を自分で選べる。対象の歩道橋一覧と地図が公開されており、店舗の前や本社の近くの橋を指名できます。
- 実例が実例を呼ぶ。街なかで他社の愛称を見た企業が「うちも」と申し込む流れができています。スーパーや製造業など、業種も広がっています。
数字で見る規模
最低額で計算すると、114橋で年間およそ3,760万円(税込)になります。1橋あたりは小さくても、地方都市の陸上競技場の命名権(年300万〜3,000万円)に並ぶ規模です。歩道橋は塗装や補修に費用がかかる施設で、その維持費の一部を命名権でまかなう形になっています。
ほかの都市との違い
| 都市 | 料金 | 募集 |
|---|---|---|
| 名古屋市 | 月2万7,500円(税込)以上・一律 | 通年 |
| 千葉市 | 年15万円(税別)以上・一律 | 随時 |
| 札幌市 | 月2万5,000円〜6万7,000円(税抜)・橋ごと | 年1回(春) |
| 埼玉県 | 年20万円以上/1橋 | 年1回(令和8年は6月18日〜7月31日) |
| 横浜市 | 年30万円〜(駅前デッキは年396万円) | 施設ごとに不定期 |
通年・一律・指名可の3つがそろっているのは名古屋市と千葉市です。募集期間を区切る都市は、希望の橋が出る年を待つ必要があります。
この事例から学べること
- 売る側:金額を一律にし、締切をなくし、対象を地図で見せる。この3つで、営業をかけなくても申込が続く
- 買う側:年33万円で3年以上、毎日の通行者に社名を見せ続けられる。屋外看板より安く、地域貢献の説明もしやすい
- 小さな契約の積み上げ:1件数十万円でも100件を超えれば、大型施設1件分の収入になる


